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技術書翻訳本の問題点

邦訳が出ていることを知った上で、原書(もちろん英語に限る)を購入するへそ曲がりな私ですが、これにはわけがあります。素晴らしい翻訳を除いては(少なくないです)、訳された日本語の意味が不明であったりして、どうしても原書を参照したくなるのです。だったら、最初から原書にあたりたいという単純な欲求です。多くの場合、原書の方が安いという<実利>もあります。

このような状況で、最近某原書を買って、なかなか気に入ったのですが、先日、それの邦訳を見る機会がありました。ここぞとばかり、かなり重要と思っている箇所を見てみました。やはりというか、かなり問題がありますね。この翻訳本は、具体的な翻訳者が掲載されていないので(いわゆるチーム翻訳)、責任の所在も不明なのです。

単語単位での置換ミスは論外としても(専門用語ではかなりあります)、日本語と英語の構造に起因するところは、なかなか奥が深く、難しい問題と思います。たとえば、上記本に、以下のような文章があったのですが、

"A, until B."

これの翻訳は、「Bであるまでは、Aである」という、教科書通りの訳し方。別に間違っているわけではありません。

でも、ちょっと待ってください。英文では、Bの方が強調されていますよね。対して、この日本語では、Aが強調されてしまうことになります。これでは、著者の言いたいことが、逆に取れてしまいかねません。この場合は、それまでの文章の流れを読めば、著者がBを強調したいことは明らか。この箇所を翻訳された方は、そのような文脈を理解されず、ひとつひとつの文章を孤立して訳していった、ということだと思います。

私だったら、「いまは(やむなく)Aであるけれど、それもBとなるまでのことですよ」という感じでいきますけど。これが原文のニュアンスのはずです。
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プロフィール

加納裕(かのうゆたか)

Author:加納裕(かのうゆたか)


[略歴]
1983年3月東京工業大学工学部機械物理工学科卒業
1983年4月(株)図研入社
1987年1月同社退社
1987年2月(株)ソリッドレイ研究所を6名で設立、取締役
1994年3月同社退社
1994年4月(株)スリーディー入社
1996年10月同社取締役
1999年12月上海大学兼務教授
2002年10月同社代表取締役
2009年9月ものつくり大学非常勤講師~現在
2009年10月同社代表退任/退社
2010年1月ソフトキューブ(株)入社~現在(技術顧問)
2017年4月湘南工科大学非常勤講師~現在


[業界団体・学会活動]
電気学会・第三期次世代インタラクティブディスプレイ協同研究委員会(幹事)/最先端表現技術利用推進協会・アカデミック部会(旧:三次元映像のフォーラム)(副部会長)/日本バーチャルリアリティ学会ハプティクス研究委員会(委員)/ACM(Professional Member)/情報処理学会(正会員)/3Dコンソーシアム(賛助会員)/URCF(特別会員)

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前職:立体映像産業推進協議会(幹事)/日本バーチャルリアリティ学会・論文委員会(委員)/3DBiz研究会(個人賛助会員)


[資格]
TOEIC805点
数学検定1級(数理技能)
中型・普自二免許
サッカー4級審判員

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