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立体視 (10)

あるサイズのモニタを想定して制作した立体コンテンツを、サイズの異なるモニタで観るとします。かなりあり得る状況ですね。これでお悩みの方も多いと思いますよ。

一般に巷で言われていることは、モニタサイズに比例した視距離(たとえばモニタの縦の長さの三倍)で観ることが推奨されているようです。これはこれで理に叶っているようですが、<三次元オブジェの再現性(=スケールは変わるが形状自体は歪まない)>の観点から言うとどうなのでしょう。あるモニタで良好な立体が観察できたとしても、それより大きなサイズのモニタで観ると、立体感が強調されたという経験をお持ちの方は多いかも知れません。逆(より小さなモニタで観ると立体感は減退)もまた真なり!

では、<三次元オブジェの再現性>を得るためには、モニタサイズの変化により、視距離をどのように変えればよいのでしょう?ちょっと計算してみたら、以下の式が得られました。

β = 1 - (1 - α)(h / D) --- (1)

ここで、βは視距離の変化率、αはモニタサイズの変化率、hは最初のモニタで観たときの飛び出し距離、Dは最初のモニタのときの視距離、です。モニタサイズに比例して視距離を変える、ということは、β=αとすべきである、という主張ですね。

さて、式(1)は残念ながら、hに依存していますので、α=1.0でない限りは、一般には<三次元オブジェの再現性>は得られないことになります。つまり、立体は必ず歪みます。

でも、これだと当たり前のことなので、もう少し追求しましょう。式(1)で、たとえばα=0.5としてみると、

β = 1 - (h / 2D) --- (2)

となります。かなりオブジェが飛び出した場合、つまりh→Dのとき、β→0.5になりますが、一般にはβは1.0より少し小さめ程度ですね。つまりは、モニタサイズの変化ほどには視距離を変化させなくてもよいことになります。そしてこの場合に、いわゆる<箱庭効果>が観察できます。

逆に、式(1)でα=2.0としてみると、

β = 1 + (h / D) --- (3)

ここでも上記の議論と同様、モニタサイズが大きくなった割合よりも、視距離変化の割合は小さくてもよいということであります。これらの結果は、経験とも一致するのではないでしょうか。
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プロフィール

加納裕(かのうゆたか)

Author:加納裕(かのうゆたか)


[略歴]
1983年3月東京工業大学工学部機械物理工学科卒業
1983年4月(株)図研入社
1987年1月同社退社
1987年2月(株)ソリッドレイ研究所を6名で設立、取締役
1994年3月同社退社
1994年4月(株)スリーディー入社
1996年10月同社取締役
1999年12月上海大学兼務教授
2002年10月同社代表取締役
2009年9月ものつくり大学非常勤講師~現在
2009年10月同社代表退任/退社
2010年1月ソフトキューブ(株)入社~現在(技術顧問)
2017年4月湘南工科大学非常勤講師~現在


[業界団体・学会活動]
電気学会・第三期次世代インタラクティブディスプレイ協同研究委員会(幹事)/最先端表現技術利用推進協会・アカデミック部会(旧:三次元映像のフォーラム)(副部会長)/日本バーチャルリアリティ学会ハプティクス研究委員会(委員)/ACM(Professional Member)/情報処理学会(正会員)/3Dコンソーシアム(賛助会員)/URCF(特別会員)

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前職:立体映像産業推進協議会(幹事)/日本バーチャルリアリティ学会・論文委員会(委員)/3DBiz研究会(個人賛助会員)


[資格]
TOEIC805点
数学検定1級(数理技能)
中型・普自二免許
サッカー4級審判員

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