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天璋院篤姫

遅ればせながら、宮尾登美子氏の、「天璋院篤姫」(新装版文庫・上下巻)を読んでいます。言わずとしれた、2008年大河ドラマの原作。でもこれは、四半世紀も前に書かれたのですね。

私は、宮尾氏の本は初めてなので、最初は文体に慣れるのに手間取りました。独特の言い回しですね。それとも、私だけが感じるのでしょうか。あ、そうか、私にとって標準の文体は、司馬遼太郎先生のものなのでした。

さて、上巻の最後(381ページあたりから)に、篤姫が滝山から、ときの老中・堀田正睦の更迭への協力を求められる場面があります。後継候補は、かの井伊直弼!

井伊直弼は紀州派なので、いまの13代将軍家定の後継は、慶福(のちの家茂)に決まります。しかるに、篤姫にとっての神様・島津斉彬は、一橋派の慶喜を推している。でも、篤姫が両者に会った印象では、断然慶福。さあ、篤姫困った!

この場面、非常に重要でありながら、どちらにも決めようがないという、それこそギリギリの決断をしなければならないときの、よいエクササイズだと思いました。結局、篤姫は、両者(=慶福と慶喜)に対する自身の印象/両者を推すひとたち(=滝山と幾島)の論理の正当性/さらにはそのひとたち自身の信頼性/そして自身のおかれている立場、などから判断したのです。この場合は、幾島に罵声を浴びせられながらも、慶福に有利な振る舞いをしたわけです。あとの歴史はご存じのとおり。

私のつまらない解説よりも、ぜひ原作をお読みいただきたいのですが、篤姫の苦渋の決断が何とも胸を打ちます。このあたりで、さすがに宮尾氏の文体にも慣れてきました。噂に違わず美しい日本語であります。
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プロフィール

加納裕(かのうゆたか)

Author:加納裕(かのうゆたか)


[略歴]
1983年3月東京工業大学工学部機械物理工学科卒業
1983年4月(株)図研入社
1987年1月同社退社
1987年2月(株)ソリッドレイ研究所を6名で設立、取締役
1994年3月同社退社
1994年4月(株)スリーディー入社
1996年10月同社取締役
1999年12月上海大学兼務教授
2002年10月同社代表取締役
2009年9月ものつくり大学非常勤講師~現在
2009年10月同社代表退任/退社
2010年1月ソフトキューブ(株)入社~現在(技術顧問)
2017年4月湘南工科大学非常勤講師~現在


[業界団体・学会活動]
電気学会・第三期次世代インタラクティブディスプレイ協同研究委員会(幹事)/最先端表現技術利用推進協会・アカデミック部会(旧:三次元映像のフォーラム)(副部会長)/日本バーチャルリアリティ学会ハプティクス研究委員会(委員)/ACM(Professional Member)/情報処理学会(正会員)/3Dコンソーシアム(賛助会員)/URCF(特別会員)

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前職:立体映像産業推進協議会(幹事)/日本バーチャルリアリティ学会・論文委員会(委員)/3DBiz研究会(個人賛助会員)


[資格]
TOEIC805点
数学検定1級(数理技能)
中型・普自二免許
サッカー4級審判員

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