FC2ブログ

Matrix Analysis and Applied Linear Algebra (2)

ところどころで、Carl Meyerの"Matrix Analysis and Applied Linear Algebra (2000)"を薦めていますが、ひとつ内容をご紹介しましょう。

1.6節に、"Ill-Conditioned Systems"に関する説明があります。これがなかなか、インパクトのある内容に仕上がっているのです。一次方程式系なんて、所詮は線型だから簡単!などと思っている人に、実はそうでもないですよ~、と知らしめるには、うってつけの例だと思います。

まず、以下の連立方程式を考えます(小数点左側のゼロは省いていますので、お間違えのなきよう)。

.835X + .667Y = .168 --- (1)
.333X + .266Y = .067 --- (2)

これの解は、

(X, Y) = (1, -1) --- (3)

です。検算してみてくださいね。

さて、次に以下の連立方程式を考えます。

.835X + .667Y = .168 --- (4)
.333X + .266Y = .066 --- (5)

式(1)と式(4)は全く同じです。式(5)は、式(2)の定数項.067を.066と、.001だけ減らしただけです。つまり、式(1)(2)と、式(4)(5)は、殆ど同じというわけです。しかるに、これの解は、なんと、

(X, Y) = (-666, 834) --- (6)

と、式(3)とは似ても似つかぬものとなる、という例です。

この理由は、多くの人が容易に推測されるように、式(1)と式(2)、もしくは式(4)と式(5)が殆ど平行だから、ということです。ここまではよろしいですね。でも、ここからはどうでしょう?

何故か、式(6)が、連立方程式(1)(2)の解に近いことが分かったとしましょう。そこで検算するわけですが、この値を式(1)と式(2)に代入すると、

.835 x (-666) + .667 x 834 - .168 = 0 --- (7)
.333 x (-666) + .266 x 834 - .067 = -.001 --- (8)

これで検算が終わって、式(6)は、±.001の精度で正しい、などとやってしまいそうではないですか?これは著者の言う、"...this is nowhere close to being true..."であります。引っ掛かってしまったら、本書はあなたの本です。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

加納裕(かのうゆたか)

Author:加納裕(かのうゆたか)


[略歴]
1983年3月東京工業大学工学部機械物理工学科卒業
1983年4月(株)図研入社
1987年1月同社退社
1987年2月(株)ソリッドレイ研究所を6名で設立、取締役
1994年3月同社退社
1994年4月(株)スリーディー入社
1996年10月同社取締役
1999年12月上海大学兼務教授
2002年10月同社代表取締役
2009年9月ものつくり大学非常勤講師~現在
2009年10月同社代表退任/退社
2010年1月ソフトキューブ(株)入社~現在(技術顧問)
2017年4月湘南工科大学非常勤講師~現在


[業界団体・学会活動]
電気学会・第三期次世代インタラクティブディスプレイ協同研究委員会(幹事)/最先端表現技術利用推進協会・アカデミック部会(旧:三次元映像のフォーラム)(副部会長)/日本バーチャルリアリティ学会ハプティクス研究委員会(委員)/ACM(Professional Member)/情報処理学会(正会員)/3Dコンソーシアム(賛助会員)/URCF(特別会員)

---------------------

前職:立体映像産業推進協議会(幹事)/日本バーチャルリアリティ学会・論文委員会(委員)/3DBiz研究会(個人賛助会員)


[資格]
TOEIC805点
数学検定1級(数理技能)
中型・普自二免許
サッカー4級審判員

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード