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視差角の謎 (3)

先日(2011年11月20日)、第52回日本視能矯正学会でのシンポジウム「3D映像が視機能及び心身に与える影響と安全性対策」にて、北里大学・半田知也先生が、「3D映像の現状と視機能検査・訓練応用」という演題で発表されました。半田先生のご講演は、これまでも何度か聴いています。非常に参考になりますし、面白いです。

3D映画の視聴に関するところで、半田先生は「安全のためには、スクリーンからできるだけ離れて観ることです」とおっしゃいました。私は最初、「あれ?」と思いました。なぜなら、離れてみると、立体感は強調されるからです。つまり、飛び出した立体は、より飛び出す。

しかし、<視差角>の観点からいえば、これは減少します。<視差角>とは、スクリーン上を見たときの輻輳角θと、立体視によりスクリーンから離れた空間を知覚したときの輻輳角θ'との差です。すなわち、<視差角>=θ'-θです。数式で表すと以下の通り。

θ'-θ=ε/ D --- (1)

ここで、εはスクリーン上の視差、Dは視点とスクリーンとの距離です(本BLOGでも過去に取り上げたように、式(1)は近似ですが、実際の状況では十分に正しいです)。

式(1)を見れば、スクリーンから離れると、<視差角>が減少することは明らか。私は、スクリーン上を見たときの輻輳角を基準とする意味を、まだ完全に理解したわけではありませんが、少なくともこのシンポジウムでは、立体感の指標は全て<視差角>で統一されていました。医療系分野での業界標準、ということでしょうか。

以前、たとえばコンテンツ業界では、スクリーンサイズに対する視差の比率(これは明らかにおかしい)などの指標があったと思います。いまもいろいろあるとは思いますが、<視差角>での評価が標準となりつつある、ということですね。ちなみに、飛び出すほうの視差を<交差性視差>、ひっこむほうの視差を<同側性視差>と言うそうです。専門用語もちゃんと覚えないとね。
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プロフィール

加納裕(かのうゆたか)

Author:加納裕(かのうゆたか)


[略歴]
1983年3月東京工業大学工学部機械物理工学科卒業
1983年4月(株)図研入社
1987年1月同社退社
1987年2月(株)ソリッドレイ研究所を6名で設立、取締役
1994年3月同社退社
1994年4月(株)スリーディー入社
1996年10月同社取締役
1999年12月上海大学兼務教授
2002年10月同社代表取締役
2009年9月ものつくり大学非常勤講師~現在
2009年10月同社代表退任/退社
2010年1月ソフトキューブ(株)入社~現在(技術顧問)
2017年4月湘南工科大学非常勤講師~現在


[業界団体・学会活動]
電気学会・第三期次世代インタラクティブディスプレイ協同研究委員会(幹事)/最先端表現技術利用推進協会・アカデミック部会(旧:三次元映像のフォーラム)(副部会長)/日本バーチャルリアリティ学会ハプティクス研究委員会(委員)/ACM(Professional Member)/情報処理学会(正会員)/3Dコンソーシアム(賛助会員)/URCF(特別会員)

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前職:立体映像産業推進協議会(幹事)/日本バーチャルリアリティ学会・論文委員会(委員)/3DBiz研究会(個人賛助会員)


[資格]
TOEIC805点
数学検定1級(数理技能)
中型・普自二免許
サッカー4級審判員

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