FC2ブログ

The Large, the Small and the Human Mind

はじめてのAmazon Kindle版購入は、Penrose先生の、"The Large, the Small and the Human Mind (1997)"としました。ペーパーバックは19.89ドルですが、Kindle版は14.39ドルとお得です。いま円高なので、日本円で千円とちょっと。もちろん、送料はかかりません。自動的にKindleにダウンロードされるので、快感です。

本書は、ブルーバックスで、「心は量子で語れるか(1999)」という題で翻訳されており、かなり前に読みました。ですから、内容はわかっています。今回は、英語の勉強も兼ねて。

ちょっと変わった先端物理に興味のあるヒトにはお薦めですが、本書の経緯を簡単に説明しましょう。Penroseの一般向け書籍としては、まず"The Emperor's New Mind (1989)"(邦訳は「皇帝の新しい心(1994)」)が出て、次に"Shadows of the Mind (1994)"(邦訳は「心の影(2001)」)が出ました。何れも大変な反響を巻き起こしましたが(これらも読んだ)、この二冊の内容を、よりコンパクトにまとめたものが本書です。1995年のTanner lecturesがベースとなっています。

本書がブルーバックスから翻訳で出たときには、まだ「心の影」が訳されていなかったので、ちょっと順序的に都合の悪いところがありましたが、今では大丈夫ですね。出版順に、順序立てて読まれることをお薦めしますが、とはいえ、最初の二冊は何れも大著なので、はしょってPenroseの主張を知りたい人には、本書は好都合と思います。

それでは、Penroseの主張とは何でしょう?私のヘタクソな要約では以下です。

まず、大きな世界を支配する物理法則は、アインシュタインの相対論です。一方、小さな世界を支配する物理法則は、(たくさんのヒトによる)量子論です。ここまでは既知。然るに、この二つを結びつけるのが、いわゆる<波動関数の崩壊>などと言われているもので、いきなり確率が出てきたりします。つまり、量子論では、確率が支配する。これは一般に受け入れられているものの(大学ではこのように習った)、いまだに多くの物理学者が疑問に思っているところです。

Penroseもこれを受け入れておらず、量子重力を使って、この大きな世界と小さな世界の橋渡しがきちんと(=確率ではなく)できるのでは、と考えているわけです。更には、このあたりの法則は、<非計算的>なものであろうとも主張します。ちなみに、<非計算的>とは、チューリング機械では計算できない、ということです。ここで、ゲーデルの定理が出てきて、ここのあたりの理解が、最終的にはヒトの意識(=脳の活動)を解明することになる、ということです。いまの計算機はチューリング機械なので、ヒトの脳はこれを<本質的に>凌駕し、結論として、(計算機による)人工知能はヒトに本質的に及ばない、というのが、「皇帝の新しい心」で初めて主張され、人工知能研究者の怒りを買ったのでした。

何ともスケールの大きな話ですが、その後のPenroseの書物("The Road to Reality (2005)"、"Cycles of Time (2010")では、このあたりにはあまり(というか殆ど)言及されていないので、いかに天才Penrose先生とは言え、進展がないのだろうと推測されます。

でも、非常に楽しくなる主張ではないでしょうか。上記の私のヘタなまとめに興味をもたれた方は、ぜひお読みください。決して損はしません。私が保証いたします(何も見返りはないけれど)。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

加納裕(かのうゆたか)

Author:加納裕(かのうゆたか)


[略歴]
1983年3月東京工業大学工学部機械物理工学科卒業
1983年4月(株)図研入社
1987年1月同社退社
1987年2月(株)ソリッドレイ研究所を6名で設立、取締役
1994年3月同社退社
1994年4月(株)スリーディー入社
1996年10月同社取締役
1999年12月上海大学兼務教授
2002年10月同社代表取締役
2009年9月ものつくり大学非常勤講師~現在
2009年10月同社代表退任/退社
2010年1月ソフトキューブ(株)入社~現在(技術顧問)
2017年4月湘南工科大学非常勤講師~現在


[業界団体・学会活動]
電気学会・第三期次世代インタラクティブディスプレイ協同研究委員会(幹事)/最先端表現技術利用推進協会・アカデミック部会(旧:三次元映像のフォーラム)(副部会長)/日本バーチャルリアリティ学会ハプティクス研究委員会(委員)/ACM(Professional Member)/情報処理学会(正会員)/3Dコンソーシアム(賛助会員)/URCF(特別会員)

---------------------

前職:立体映像産業推進協議会(幹事)/日本バーチャルリアリティ学会・論文委員会(委員)/3DBiz研究会(個人賛助会員)


[資格]
TOEIC805点
数学検定1級(数理技能)
中型・普自二免許
サッカー4級審判員

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード