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The Large, the Small and the Human Mind (2)

Penrose先生の、The Large, the Small and the Human Mind (1997)"、Kindle版を読んでいます。電車待ちの5分とか、ちょっとした時間に読めるので、順調に進みます。半分ほど読んだでしょうか。

本書の好きな個所のひとつが、"Elitzer-Vaidman bomb-testing (1993)"を説明しているところです。量子力学が如何に不思議な振る舞いをするかの説明なのですが、お馴染みの、ベル(Bell)の定理やアスペ(Aspect)の実験に触れたのち、別の例としてこの話を持ち出しています。ちなみに、量子レベルに留まる不思議な現象については、Penroseは受け入れています(Z-mysteries)。彼が受け入れないのは、<シュレーディンガーの猫>に代表される、ミクロとマクロの境界(X-mysteries)。

さて、"Elitzer-Vaidman bomb-testing"ですが、Wikipediaにも載っているので、ぜひご覧いただきたいのですが、フォトンに反応して爆発してしまう爆弾を、不発弾と区別するにはどうすればよいか、という問題です。普通に考えると、これは実際にフォトンをあてるしかないのですが、あててしまって、それがちゃんとした爆弾だと、ほんとうに爆発してしまうので、結局のところ区別する術がない(=機能する爆弾は全て失う)、ということです。でも、量子力学の不思議な性質("...quantum mechanics enables you to test whether something might have happened but didn't happen...")を利用して、うまく装置を組んでやると、爆発させずに区別できる、という話です。"null measurements"などと言うそうです。

オリジナルのダイアグラムを使うと、50%は爆発してしまい、残りの25%はめでたく未爆発のまま確保、25%はunknownということで(不発弾もここに分類されるので)、このunknownに対して同様の実験を繰り返すと、結局残るのは33%です。ここまではわかります。然るに、うまく装置を工夫してやると、確保の確率が100%になるのだそうです!つまり、無駄な爆発はない?

実際に、Zeilingerという人が、1994年に実験をやって(爆弾は使わなかった)、これが正しいことを検証した、ということです。ZeilingerはOxfordにPenroseを訪ねてきて、そのように言ったそうですが、Penroseの記述はユーモアがあって、"...I should emphasise that Zeilinger is most certainly not a terrorist..."などと記しています。こういうのが面白いのです。
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プロフィール

加納裕(かのうゆたか)

Author:加納裕(かのうゆたか)


[略歴]
1983年3月東京工業大学工学部機械物理工学科卒業
1983年4月(株)図研入社
1987年1月同社退社
1987年2月(株)ソリッドレイ研究所を6名で設立、取締役
1994年3月同社退社
1994年4月(株)スリーディー入社
1996年10月同社取締役
1999年12月上海大学兼務教授
2002年10月同社代表取締役
2009年9月ものつくり大学非常勤講師~現在
2009年10月同社代表退任/退社
2010年1月ソフトキューブ(株)入社~現在(技術顧問)
2017年4月湘南工科大学非常勤講師~現在


[業界団体・学会活動]
電気学会・第三期次世代インタラクティブディスプレイ協同研究委員会(幹事)/最先端表現技術利用推進協会・アカデミック部会(旧:三次元映像のフォーラム)(副部会長)/日本バーチャルリアリティ学会ハプティクス研究委員会(委員)/ACM(Professional Member)/情報処理学会(正会員)/3Dコンソーシアム(賛助会員)/URCF(特別会員)

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前職:立体映像産業推進協議会(幹事)/日本バーチャルリアリティ学会・論文委員会(委員)/3DBiz研究会(個人賛助会員)


[資格]
TOEIC805点
数学検定1級(数理技能)
中型・普自二免許
サッカー4級審判員

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